雨の降る夜に現れる亡霊。その出会いが少年の運命を変えた!
ど~も!ぷちなま(@Gamer’s Life)です。
今回プレイしてきた作品は、ある都市伝説に縋りつく絶望した少年の物語「カサナシさん」
ノベルゲームコレクションで、製作者のひとさじ氏が配信されているフリーノベルゲームになります。
前回「階段怪談」という作品をプレイして、ひとさじ氏の文章の魅力にハマってしまいました。
今作は酷いイジメを受けている少年が主人公の不思議な物語。
いじめっ子に復讐するために選んだ方法は、都市伝説で語られる亡霊「カサナシさん」に呪い殺してもらう事・・・
予想を超えた結末と、リアルな感情表現が素晴らしい作品です。
(※実際にプレイした時楽しめるよう、極力ネタバレをせずに書いていきます。)
それでは、雨の日に現れる亡霊と出会ったいじめられっ子の物語「カサナシさん」の面白さを、感想と共にレビューしていきますのでお付き合いください。
かんたんなストーリー紹介!
中学二年の夏。主人公のイノウエくんはひどいイジメにあっていた。
降りしきる雨の夜、ある目的を果たすためスイヨウ橋で亡霊を探していた。
それは都市伝説で語られている「カサナシさん」。ある雨の日の晩、この橋から身を投げて自殺したサラリーマンらしい。
俺はどうしても奴らに復讐がしたい。なんとしても奴らを殺してやりたい。
そんな感情を抱いていた時、目の前に今にも消えそうな存在感の人影を見つけた・・・。
「カサナシさん」の楽しみ所!
オカルト好きの主人公の陰湿な思考!
主人公のイノウエくんはオカルト趣味の陰キャな性格。
いじめっ子からは無視されたり物を隠されたり、ひどいときには気絶寸前まで殴られるなど、同情してしまう部分もありますが、かなり自分勝手な思考を持っていました。
いじめっ子を呪い殺して欲しいという願いを躊躇するカサナシさんに対して、「さっき力になるって言ったよね。あーあ、これだから嘘つきの偽善者は…」という言葉を返しています。
自分は何もせずに他力本願、望む答えが返ってこなければ相手を責める。
そんな陰湿な性格と感情、人間性がしっかりと伝わってくるほど、文章と言葉選びが素晴らしいんです。
カサナシさんと出会ったことで主人公がどう変わっていくか、注目していただきたい!
亡霊と呼ぶには優しすぎるカサナシさん
ある雨の日の晩、この橋から身を投げたサラリーマンとして都市伝説になっているカサナシさんなんですが、思ってたのと違う・・・。
恨みや怨念のようなものは全く感じられず、都市伝説として恐れられている存在とは思えないほど主人公の話に耳を傾けます。
主人公がどれだけイジメた奴らを憎んでいるか伝えた後も、人の生き死にを重く考えた発言をしてきました。
そして「殺して欲しい」という願いを叶えるべきか、主人公を知るための一週間が始まりまっていきます。
このカサナシさんの正体とは・・・。
心を通わせていく、人生に絶望した2人
「カサナシさん」では2つのエンディングがあり、それは選択肢で何を望むかで結末が変わります。
「イクジナシ」と「ヒトデナシ」の2つのエンディングは、二人が出会って一週間で築き上げた信頼関係あってこその結末。
自分をいじめていた相手に対して復讐することしか考えてなかった主人公が、自分が変わる事で出来る別の復讐方法を見つけていきました。
心を傷つけられた人に必要なのは、その苦しさを話せる相手、そして自分を認めてくれる存在だという事が伝わってきます。
たった一週間で歪んだ考えを持つ主人公と都市伝説の亡霊が、どんな関係を築いていくかは実際にプレイして楽しんでいただきたい。
「カサナシさん」のここが残念・・・。
いじめに苦しむ少年の心の中と変化がしっかりと込められた「カサナシさん」なんですが、残念というか気になる部分が・・・。
それは一言でいうと、その後が気になる!!!
ネタバレになるので多くは語りませんが、「イクジナシ」エンド後の主人公とカサナシさんは再会できたのか?カサナシさんも自分の道を見つけることが出来たのか?知りたいところです。
幸せな未来に向かったと想像したくなるほど不思議で素晴らしい物語なので、実際にプレイして読み解いていただきたい。
まとめ・感想
不思議な都市伝説をきっかけに出会った2人の抱えた闇と優しさが伝わってくる「カサナシさん」は、自分を理解してくれる人の大切さが伝わってくる名作でした。
いい意味で裏切るストーリーはもちろん、読ませる文章や感情が伝わってくる言葉選びが素晴らしい!
何よりも主人公の自分勝手な考え方や、いやらしさがリアルすぎて驚きです。(正直、序盤は主人公にイラっとしてしまいました。)
自分を認めてくれる人との出会いと、人生の目標を持つことがどれだけ重要か伝わってくる物語でした。
不思議でほっこりする物語を楽しみたい方は、ぜひともプレイしてみてください。
最後に「カサナシさん」のDLリンクと、製作者のひとさじ氏の作品がまとめられているnote・Twitterのリンクを貼っておきますので、興味がある方は覗いてみてください。(「カサナシさん」DLページ/note/Twitter)